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シャーペンのメーカー別の違い:国内4社と海外ブランドの性格を並べる
高級シャーペンを買うと決めてから、ぼくが最初にやったのは間違った勉強でした。商品名をノートに書き出して価格と重さを並べ、レビューを100本読む。3週間やって、手元に残ったのは40個の商品名リストと「で、結局どれ?」という […]
高級シャーペンを買うと決めてから、ぼくが最初にやったのは間違った勉強でした。商品名をノートに書き出して価格と重さを並べ、レビューを100本読む。3週間やって、手元に残ったのは40個の商品名リストと「で、結局どれ?」という最初と同じ疑問だけでした。
抜け出せたきっかけは、比べるのをやめて、各社の機構解説ページを読み始めたことです。シャーペンのメーカーによる違いは、たどると5つの思想に整理できます。ぺんてる・三菱鉛筆・パイロットの違い、ロットリングとステッドラーの違いは何か、海外ブランドのシャーペンの選び方はどこから手をつければいいのか。この記事は、高級シャーペンのブランド一覧を思想で並べ替える地図です。商品ランキングではありません。
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シャーペンのメーカーによる違いを1枚の地図で見る
先に結論から書きます。高級シャーペンの設計思想は、大きく5つの方向に分かれます。
ぺんてるは「芯を守る」方向です。オレンズシリーズの機構は、芯を紙に直接当てず、金属パイプが芯を包んだまま筆記します。パイプが紙に接して芯を支える構造で、細い芯でも折れにくい。0.2mmという極細の芯径で書けるのは、この考え方の延長にあります。
三菱鉛筆は「線の太さを守る」方向です。クルトガの芯回転機構は、筆圧をかけて紙から離すたびに芯が少しずつ回転します。同じ面ばかりが削れて芯先が斜めになるのを避け、円錐形を保ち続ける。書き続けても線幅が変わりにくいのが狙いです。
パイロットは「手を守る」方向です。ドクターグリップは、握る部分を太くやわらかくして、指先に集まる力を手のひら側へ散らす設計だと説明されています。守っているのは芯でも線でもなく、長時間書き続ける人の手のほうです。高級ラインのS20は方向が違って、木軸を絞り込んだ形で指の位置を決め、筆記時のブレを抑える作りになっています。
ゼブラは「折れる瞬間を守る」方向です。デルガードは、強い筆圧がかかると内部のバネが縮んで芯を軸の中へ逃がし、斜めからの力には金属部品が芯を覆います。折れる前に力を吸収してしまう発想です。
ロットリングは「規格を守る」方向です。600や800といった製図用の系譜は、細く長い金属のガイドパイプ、定規に沿わせても視界を邪魔しない軸形状、真鍮の重み。守るのは芯ではなく、線を引く作業の正確さです。
この5つは優劣の話ではありません。想定している困りごとが違います。あなたが直近1週間でシャーペンに対して感じたイライラを1つ思い出してください。「芯がすぐ折れる」ならぺんてるかゼブラ、「書いてるうちに線が太くなって字が汚くなる」なら三菱鉛筆、「長く書くと手が疲れる」ならパイロット、「図やグラフを引くときにペン先で線が見えない」ならロットリング。それが最初の分岐点です。
ぺんてる:芯を出さないという解答
オレンズの構造を初めて知ったとき、ぼくは正直「それは反則では」と思いました。シャーペンは芯を出して書く道具だという前提を、ぺんてるは前提から外している。
公式の機構説明では、芯を出さずに先端のパイプで芯を保護したまま筆記し、書き進めると芯の減りに合わせてパイプが自動的に後退していく仕組みだと説明されています。芯が空中で支えなしに露出している時間がほぼない。だから折れる原因そのものが減ります。
これが効くのは、0.2mmや0.3mmという極細の領域です。普通のシャーペンで0.3mmを使うと、力を入れた瞬間に折れる経験が誰でもあると思います。ぼくは中学生のとき0.3mmの製図用を1本買って、1週間で芯を1ケース使い切って諦めました。芯を保護する構造は、この領域を実用の範囲に引き戻すための解答です。
欠点も書きます
パイプが紙に触れながら書くので、書き味は独特です。芯が紙に当たる感触とは違う、わずかに硬い当たりが指に返ってきます。この感触が好きになれない人はいます。ぼくは慣れましたが、最初の30分は「なんだこれ」でした。
もう1つ、ノック回数の癖です。芯を出さない設計なので、従来のシャーペンのように「カチカチと2回ノックして芯を出す」動作が身についている人は、最初にやりすぎて芯を無駄に送り出してしまいます。
細い字を小さく詰めて書く人、数学の途中式を細かく書き込む人には、この思想が素直にはまります。逆にノートを大きく使って太い線でガシガシ書く人には、恩恵が薄い。
芯の折れにくさをどう実現しているかは各社で発想が違うので、機構の比較そのものに興味が出たら芯が折れにくいシャーペンの仕組み比較で3社の守り方を並べています。
三菱鉛筆:芯を回して線幅を保つ
クルトガの芯回転機構は、地味に見えて効き方が長期的です。
シャーペンの芯は、書いているうちに紙に当たる側だけが削れて、断面が斜めになります。斜めになった面で書くと接地面積が広がり、線が太くなる。同じ筆記具のまま、ノートの後半だけ字が太くなって汚く見える現象の正体はこれです。
三菱鉛筆の解決策は、書くたびに芯を少しずつ回すことでした。筆圧の上下運動を内部の歯車機構が回転に変換し、書くたびに芯先が少しずつ回っていく。特定の面だけが削れず、円錐形が保たれます。
ここで1つ注意があります。「何回書けば1回転するか」という数字を見かけることがありますが、回転の刻みや1回転までの周期はモデルによって異なります。クルトガは標準的なモデルから上位機のクルトガダイブまで世代差があり、機構の仕様も同じではありません。買う前に、そのモデル自身の公式仕様を確認してください。数字を覚えるより「削れる面が固定されない」という原理のほうが、選ぶときには役に立ちます。
ぼくが実感したのは、テスト前に問題集を何ページも解いたときの見た目でした。1ページ目と10ページ目の数字の太さが揃っている。線が細いことよりも、太さが変わらないことのほうがノートの読みやすさに効きます。桁の多い計算で数字が潰れなくなったのは、この機構のおかげだと思っています。
欠点も書きます
回転機構が入っているので、ペン先にごくわずかな上下の動きがあります。硬いカチッとした固定感を求める人には、この微妙な遊びが気になります。製図用シャーペンのガチッとした先端に慣れた手だと、頼りなく感じるかもしれません。
それから、モデルの多さです。クルトガは価格帯もグレードも幅広く、名前が似ているのに機構の世代が違うものが並びます。買い間違いが起きやすい部分なので、購入前にクルトガのモデルの違いで世代差を確認しておくと安心です。
パイロット:手のほうを守る
ぺんてる・三菱鉛筆・ゼブラの3社は、芯か線のどちらかを守っています。パイロットだけが、守る対象を書き手の手に置いています。
ドクターグリップの設計は、握る部分を太く、やわらかい素材で作ることで、指先の一点に集まりがちな力を広い面へ分散させるという考え方だと公式に説明されています。細い軸を強く握ると、力は指先とペン軸の接点に集中します。軸が太くやわらかいと、同じ力でも接する面積が増えるぶん一点あたりの負担が下がる。長時間書く人のための機構です。
ここが他社との決定的な違いです。ぺんてるは芯が折れるのを止め、三菱鉛筆は線が太るのを止め、ゼブラは折れる力を逃がす。どれも紙の上で起きる問題です。パイロットが見ているのは、手の中で起きている問題のほう。だから「ぺんてる 三菱鉛筆 パイロット どこが違う」という問いへの答えは、守っている対象が違う、になります。
高級ラインでは方向が変わります。S20は木軸を使い、中央がふくらんで先に向かって細くなる形に削られています。この形で指が自然に同じ位置に収まり、握り直しが減る。ドクターグリップが力を散らすアプローチなら、S20は握る位置を固定するアプローチです。守っているものは同じ「書き手の手」でも、やり方が違います。
欠点も書きます
やわらかいグリップは経年で劣化します。ゴム系の素材は数年使うとベタついたり縮んだりすることがあり、金属軸のように何十年も同じ状態では使えません。長く1本を持ち続けたい人には向かない部分です。
太い軸そのものが合わない人もいます。手が小さい中学生が太軸を握ると、かえって指が開いて疲れることがあります。太さの価値は、手のサイズとの相性で決まります。
木軸のS20は水に弱く、落としたときの傷も金属軸より目立ちます。持ち歩き前提なら、ケースを一緒に考えたほうがいいです。
ぺんてる・三菱鉛筆・パイロットの違い
ここまでの3社を並べ直すと、違いはシンプルです。
ぺんてるは芯そのものを折れさせないための機構を持ち、三菱鉛筆は線の太さを一定に保つための機構を持ち、パイロットは書く手の疲労を減らすための機構を持っています。3社とも公式に構造を説明していますが、狙っている困りごとが違うので、同じ土俵で性能を比べる意味がありません。
だから「ぺんてる 三菱鉛筆 パイロット どこが違うのか」という質問への答えは、あなたのノートで実際に起きている症状がどれに当てはまるかで決まります。芯を折るならぺんてる、字が太るなら三菱鉛筆、手が疲れるならパイロット。この3択に自分を当てはめると、迷いはかなり減ります。
ゼブラ:折れる直前に力を逃がす
デルガードの発想は、5社の中でいちばん物理的です。
芯が折れるのは、芯の強度を超える力がかかった瞬間です。ゼブラの答えは、その力を芯に届かせないこと。真上から強い筆圧がかかると内部のバネが縮んで芯が軸の中へ引っ込み、斜めから力がかかると金属のパーツが出てきて芯の周りを覆う、と公式に説明されています。方向の違う2種類の力を、それぞれ別の仕掛けで処理する構造です。
これは筆圧が強い人のための思想です。ぼくは自分の筆圧が強い自覚があって、中学時代はシャー芯を月に2ケース使っていました。芯の質を上げても解決しなかったのは、原因が芯ではなく力のかけ方だったからです。力を逃がす構造は、この体質を道具側で受け止めてくれます。
パイロットと目的が近く見えますが、別物です。パイロットは手の疲れを減らすために力を分散し、ゼブラは芯を守るために力を吸収します。筆圧が強くて芯を折るならゼブラ、筆圧が強くて手が痛くなるならパイロット。同じ「筆圧が強い」でも、出ている症状で行き先が変わります。
欠点も書きます
芯が引っ込む動きは、目に見えます。強く書いた瞬間にペン先で芯が沈むのが視界に入るので、これを「守られている」と感じるか「不安定」と感じるかは人によります。
それに、機構が入るぶん先端の構造が複雑になります。分解して掃除する前提の道具ではないので、芯が詰まったときの復旧は素直な単純構造のシャーペンより手間です。
筆圧が強い人、テストで力が入って芯を折るのが怖い人には、この思想が向いています。もともと筆圧が軽い人には、機構が働く場面がほとんど来ません。
ロットリング:製図の規格に合わせる
ここで思想の系統が変わります。国内4社は筆記中の困りごとを機構で解決する方向でしたが、ロットリングが守っているのは作業の正確さです。海外ブランドのシャーペンの選び方を考えるとき、まず押さえるべきはこの一点です。
600や800シリーズに共通する特徴は、製図用としての要件から来ています。先端の細長い金属パイプは、定規のエッジに沿わせて線を引くためのものです。パイプが長いほど、定規に当てたときペン先が見えて、線の始点と終点を正確に狙えます。軸のローレット加工(滑り止めの細かい溝)は、手が汗ばんでも角度が変わらないためのもの。真鍮を使った重さは、押しつける力を減らしても線が引けるようにするためです。
ロットリングとステッドラーの違い
同じドイツの製図系として並べられる2社ですが、実際に手に取ると別の道具です。ロットリングとステッドラーの違いを知っておくと、海外ブランドのシャーペンの選び方そのものが具体的になります。
軸材と重さが違います。ロットリングの600や800は真鍮を主体にした金属軸で、ずっしりした重量を武器にしています。ステッドラーの製図用は樹脂軸のモデルが主力で、925シリーズのように金属軸も持っていますが、ラインナップ全体としてはロットリングより軽い側に寄っています。重さを味方にするか、軽さで疲れを減らすか。ここが最初の分かれ目です。
握る部分の作りも違います。ロットリングは金属軸に直接ローレット加工を刻む、グリップ部品を足さない作りで通しています。ステッドラーはラバーグリップを備えたモデルを展開していて、握り心地を素材で作る選択肢があります。手汗が多い人や、金属の冷たさが苦手な人には、この差が実用上いちばん効きます。
ラインナップの位置づけも違います。ロットリングは製図用の系譜に絞ってブランドを立てていて、選択肢は多くありません。ステッドラーは製図用のほかに、鉛筆や製図用品全般、学生向けの安価なモデルまで幅広く持っています。同じ系統の中で価格を下げて試したいならステッドラー、金属軸の重さを目的に買うならロットリング。この整理で迷いはかなり減ります。
見た目の性格も対照的です。ロットリングは黒と赤のロゴという工業製品らしい記号性が強く、持っているだけで用途が伝わります。ステッドラーは青を基調にした落ち着いた見た目で、教室でも浮きません。学校で目立ちたくないならステッドラー側が無難です。
製図用シャーペンが勉強に向くのかという議論は前提が分かれるので、製図用シャーペンと普通のシャーペンの違いに詳しく書きました。
欠点も書きます
海外ブランドの現実的な弱点は、消耗品の入手です。国内メーカーの替芯や消しゴムは近所の文具店で確実に手に入りますが、海外ブランド専用の部品は取り扱い店が限られます。通販前提になる場面があると考えておいたほうがいいです。
もう1つ、学校での目立ち方。金属の重い軸は、机に置いたときの音も存在感も国内メーカーの樹脂軸とは違います。ぼくは中学生のときに金属軸を持ち込んで、その日1日で5人に「それ何?」と聞かれました。それが嬉しいタイプの人には最高ですが、静かに使いたい人には落ち着かないと思います。
そして芯折れ対策の機構は入っていません。守っているのが線の正確さであって、芯ではないからです。筆圧が強い人が製図用を選ぶと、芯を折り続けることになります。
高級シャーペンのブランド一覧を5社の思想で並べる
| メーカー | 守るもの | 公表されている代表機構 | 向いている困りごと | 弱点 |
|---|---|---|---|---|
| ぺんてる | 芯そのもの | 芯をパイプで包んで筆記し、パイプが自動後退する構造(オレンズ) | 細い字を書きたい/芯をよく折る | 書き味が独特。パイプの当たりが硬く感じる人がいる |
| 三菱鉛筆 | 線の太さ | 筆圧を回転に変える芯回転機構(クルトガ) | 書いていると字が太くなる/桁の多い計算 | ペン先にわずかな遊びがある。モデル差が分かりにくい |
| パイロット | 書き手の手 | 太くやわらかいグリップで力を分散する設計(ドクターグリップ)、指の位置を決める木軸形状(S20) | 長時間書くと手が疲れる/握る位置が定まらない | ゴムグリップは経年で劣化。太軸が手に合わない人がいる |
| ゼブラ | 折れる瞬間 | 筆圧を吸収するバネと芯を覆う金属パーツ(デルガード) | 筆圧が強い/テストで力が入る | 芯が沈む動きが視界に入る。先端構造が複雑 |
| ロットリング | 線の正確さ | 製図規格のガイドパイプ、ローレット加工、真鍮軸 | 図やグラフを引く/低筆圧で書きたい | 替芯・部品の入手が国内メーカーより手間。学校で目立つ |
この高級シャーペンのブランド一覧で大事なのは右から2列目です。「向いている困りごと」に自分の悩みがあるかどうかで決める。逆から選ぶと、あなたが持っていない悩みを解決する機構に予算を払うことになります。
自分がどの思想の側かを決める3つの質問
質問1:シャー芯を1ケース何日で使い切るか
2週間以内なら、折っているか濃さが合っていません。折っている自覚があるなら、ぺんてるかゼブラの思想が効きます。1ヶ月以上もつなら折れは主な問題ではないので、三菱鉛筆かロットリングの方向で考えてください。
濃さの選び方そのものが原因のこともあります。芯を柔らかくすれば折れやすくなるので、シャー芯のおすすめと濃さの選び方と合わせて考えると精度が上がります。
質問2:ノートの1ページ目と最後のページで字の太さが変わるか
見比べてください。後半の字が太く潰れているなら、三菱鉛筆の芯回転機構が刺さります。この症状は自覚しにくいのに、ノートの読みやすさへの影響が大きい部分です。
質問3:60分書き続けたあと、手のどこが痛いか
指先が痛いなら力が一点に集中しています。パイロットのグリップ設計が効く場面です。手首や腕が重いなら、原因はペンより姿勢と机の高さかもしれません。どこも痛くないなら、この軸は無視して構いません。
定規を使う回数も見てください。理科のグラフ、数学の図形、技術の製図。週に何回も定規を当てるなら、ロットリングやステッドラーの製図系が働く場面が多いです。文字を書くだけならこの思想の恩恵は薄く、重さがそのまま疲れになります。
芯の太さをどう選ぶかは思想選びの次の分岐です。0.3mmと0.5mmの使い分けはシャーペンの芯の太さ0.3と0.5はどっち?に整理しました。
海外ブランドのシャーペンの選び方
国内メーカーと海外ブランドでは、選び方の手順そのものが違います。
まず、目的が製図・作図寄りかどうかを確認してください。海外ブランドのシャーペンの選び方の起点はここです。図やグラフを引く場面がほとんどない人が重い金属軸を選ぶと、恩恵より重さの負担のほうが大きくなります。
次に、消耗品の入手経路を先に決めておくこと。替芯を切らしたときにすぐ買い足せるかどうかは、海外ブランドを長く使えるかを左右します。近所の店で扱いがなければ、通販でまとめ買いする前提に切り替えてください。
最後に、重さと握りの好みを実際に持って確かめること。ロットリングとステッドラーの違いのように、同じ製図系でも重さとグリップの方向性はブランドごとに違います。写真やスペックだけで決めず、可能なら店頭で持ってから選ぶのが失敗しない順番です。
予算から思想へ、思想から商品へ
思想が決まってから予算を見ると、選択肢が一気に絞れます。
3000円前後は国内メーカーの上位機構が揃う価格帯です。ぺんてる・三菱鉛筆・パイロット・ゼブラそれぞれの代表的な機構を、この予算内で体験できます。お年玉やお小遣いで最初の1本を狙うなら、ここから入るのが素直です。具体的な候補は3000円で買える高級シャーペンにまとめています。
5000円前後になると、同じ機構の上位仕様や金属軸、木軸が視野に入ります。重心の作り方や軸材で書き心地が変わる領域です。5000円で買える高級シャーペンで選択肢を並べました。
海外の製図系は価格の幅が大きく、モデルによって金属の使い方も違います。重さが正義になる思想なので、実際に持ってから決めたほうが失敗が少ない領域です。ロットリングとステッドラーで迷ったら、軽いほうから試すと自分に必要な重さが分かります。
そもそも1本目をどう選ぶかで迷っているなら、初めての高級シャーペンの選び方が入口として使えます。
ぺんてる オレンズネロ
三菱鉛筆 クルトガ ダイブ
パイロット S20
ゼブラ デルガード タイプER
ロットリング 600
贈る側の大人が見るべきところ
ここまでは自分で選ぶ人向けに書きました。プレゼントとして選ぶ場合、判断の順番が変わります。
贈る相手の困りごとは聞き出せません。だから機構で選ぶより、外れにくさで選ぶことになります。ぼくが人に贈るときに使っている基準は3つです。
- 消耗品が近所で買えるかどうか。国内メーカーの替芯なら、贈られた側が困りません。海外ブランドは、贈った時点では格好よくても、部品が切れたときに面倒をかけます。
- その機構が働く場面が本人の生活にあるかどうか。芯回転機構は文字をたくさん書く人に効きます。グリップ設計は長時間書く人に効きます。製図系は図を引く人に効きます。相手が何をどれだけ書く人かを思い出してから決めると外しにくい。
- 名前や見た目の派手さ。学校に持っていくものだと、目立ちすぎるのを嫌う子もいます。
中学生と高校生でも判断が変わるので、中学生へのシャーペンプレゼント選びと高校生へのシャーペンプレゼント選びで相場と外さない基準を分けて書きました。入学祝いのタイミングなら入学祝いの文房具も参考になります。
大人が自分用に選ぶなら、仕事の場でどう見えるかという別の軸が加わります。大人のシャーペンの選び方にまとめました。
よくある質問
ぺんてる・三菱鉛筆・パイロットは結局どこが違うのですか
守っている対象が違います。ぺんてるは折れやすい芯そのもの、三菱鉛筆は太くなっていく線、パイロットは書き続ける手。3社とも公式に機構を説明していますが、狙っている問題が別なので、性能を横一列で比べる意味がありません。あなたのノートで実際に起きている困りごとが、そのまま行き先を決めます。
ロットリングとステッドラーはどちらを買うべきですか
金属の重さで筆圧を減らしたいならロットリング、軽さやラバーグリップを取りたいならステッドラーです。ロットリングは真鍮軸のグリップレス設計に絞っていて、ステッドラーは樹脂軸から金属軸まで幅があり、価格帯も下から選べます。初めて製図系を買うなら、安いステッドラーで自分に合うか試してからロットリングへ上がる順番が損をしにくいです。
機構が入ったシャーペンは壊れやすいですか
構造が複雑なぶん、単純なシャーペンより部品数は多くなります。ただ、どのメーカーも日常の筆記を前提に作っているので、通常の使い方で壊れるものではありません。注意するのは、芯が詰まったときに無理に押し込むこと。機構部分に力をかけると復旧が難しくなります。
5社の機構を全部載せた1本はありますか
ありません。ぺんてるの芯を保護する構造とゼブラの芯を逃がす構造は、芯の動かし方の前提が逆です。三菱鉛筆の回転機構も、芯が自由に動ける余地を必要とします。パイロットの太いグリップは、ロットリングの細い金属軸とそもそも形が両立しません。機構は互いに干渉するので、どれか1つの思想を選ぶ設計になります。だから「どれも入っていて最強の1本」を探すのは時間の無駄で、自分の困りごとに合う思想を1つ選ぶのが正解です。
高い機構より、芯を良いものにしたほうが安いのでは
順番としてはそれが正しいです。芯を変えて解決するなら数百円で済みます。ぼくが試して分かったのは、濃さの選択ミスや紙との相性は芯で直り、筆圧のかけ方が原因の折れは芯では直らないことでした。まず芯を変えて、それでも折れるなら機構に投資する。この順番が安全です。
手汗が多いのですが、思想選びに影響しますか
します。金属軸のローレット加工は滑り止めとして働きますが、樹脂やゴムのグリップとは滑りにくさの質が違います。手汗が多い自覚があるなら、機構より先にグリップ素材から絞るほうが失敗しません。パイロットのゴムグリップやステッドラーのラバーグリップは、この点で選択肢に入ります。手汗で滑りにくいシャーペンの選び方にまとめています。
木軸のシャーペンはどの思想に入りますか
パイロットのS20のように、木軸を使いながら握りの安定を狙ったモデルはこの地図の中に入ります。それとは別に、木の変化そのものを楽しむ木軸は別の軸です。握ったときの温度、使い込んだときの色の変わり方が価値になる方向で、機構で困りごとを解決する話ではありません。興味があれば木軸シャーペンの選び方を見てください。
中学生が金属軸を学校で使っても大丈夫ですか
校則によります。筆記具の材質を制限している学校は少ないですが、高価なものの持ち込みを禁止している場合はあります。それとは別に、金属軸は落としたときのダメージが樹脂軸より大きいです。ペン先が曲がると精度が落ちるので、持ち歩くなら仕切りのあるペンケースを合わせて考えてください。ペンケースの選び方で形と容量の話をしています。
商品名を覚える前に、地図を持つ
高級シャーペンを選ぶのが難しいのは、選択肢が多いからではありません。比べる軸を持たないまま選択肢を増やしているからです。
ぼくが3週間かけて作った40個の商品名リストは、結局1つも役に立ちませんでした。役に立ったのは、各社の機構解説ページを読んで「この会社は何を敵だと思っているのか」を理解したことです。ぺんてるは折れる芯を、三菱鉛筆は太くなる線を、パイロットは疲れる手を、ゼブラは強い筆圧を、ロットリングは狂う線を敵にしている。
自分がどの敵と戦っているかが分かれば、選ぶメーカーは1社か2社に絞れます。あとはその中で予算に合う1本を選ぶだけ。ここまで来れば、商品名のリストは初めて意味を持ち始めます。
棚に並べる1本目は、あなたが今いちばん困っていることに答えてくれるものにしてください。それが、何年経っても使い続けられる1本になります。