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万年筆の字幅EF・F・M・Bの違いと選び方

万年筆のペン先には、EF・F・M・Bという字幅の記号がついています。細い順に並べるとEF→F→M→B。ここまでは、どのブランドでも共通です。 問題はその先です。同じ「F」と書いてあっても、国産ブランドと海外ブランドでは線 […]

2026年9月9日 / hinata

万年筆のペン先には、EF・F・M・Bという字幅の記号がついています。細い順に並べるとEF→F→M→B。ここまでは、どのブランドでも共通です。

問題はその先です。同じ「F」と書いてあっても、国産ブランドと海外ブランドでは線の太さがそろいません。海外ブランドのFは、国産のFより太めに作られている傾向があります。不良品でも個体差でもありません。各社が別々の基準で字幅を決めているために起きることです。

この記事では、字幅の記号が何を示しているのかを整理したうえで、主要5ブランドの公式サイトに載っている字幅表記を横に並べて、「同じ記号でも太さが違う」問題にどう向き合えばいいかをまとめます。先にはっきり書いておくと、この記事は各社の公式表記を並べて整理したものです。ペン先ごとの実測データはまだ載せていないため、線の太さそのものは「傾向の目安」として読んでください。万年筆デビューの選び方を読んで、あとは字幅だけ決めれば買える、という人に向けた内容です。

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万年筆の字幅EF・F・M・Bの違いと選び方

「F」を買ったのに太さが違う、その理由

先に結論を書きます。字幅の記号は世界共通の規格で決まった太さの単位ではありません。各メーカーが自社のラインナップの中で「うちのEFはこれ、Fはこれ」と相対的に割り振った名前です。だから、パイロットのFとPelikanのFは、同じ記号でも別の太さになります。

そして傾向として、日本のブランドは細め、欧米のブランドは太めに基準が寄っています。理由はあとで詳しく書きますが、漢字とアルファベットという、書く文字の違いが根っこにあります。

EF・F・M・Bの基本の意味

字幅の記号は英語の頭文字です。EFはエクストラファイン(極細)、Fはファイン(細字)、Mはミディアム(中字)、Bはブロード(太字)。ブランドによっては、FとMの間にFM(中細字)やMF(中細)を置いたり、EFよりさらに細いラインナップを持っていたりします。

大事なのは、この記号が示すのは「そのブランドの中での順序」だという点です。EFよりFが太く、FよりMが太い。この順序はどのブランドでも守られています。順序は共通、絶対的な太さは各社バラバラ。ここを押さえておくと、このあとの話がすっと入ってきます。

メーカー別に見る字幅基準のズレ

主要5ブランドの字幅表記を順に見ていきます。以下は各社公式サイトのペン先仕様ページで確認した表記です(各社公式サイトで確認・2026年9月5日時点)。どの字幅が用意されているかはモデルによって変わるので、あくまでブランドとしての基本構成です。

パイロットの字幅表記

パイロットは字幅の展開が広いブランドです。細字側にEF、中心にF・FM・M、太字側にBがあり、モデルによってはさらに細かい選択肢が用意されます。FとMの間にFMを挟む構成が特徴で、「Fだと細すぎる、Mだと太い」という人の受け皿があります。国産らしく、全体として細めの基準です。

プラチナ萬年筆の字幅表記

プラチナ萬年筆もEF・F・M・Bを基本に展開し、モデルによっては極細より細いUEF(超極細)を持ちます。細さへのこだわりが強いブランドで、細字側の選択肢が厚い構成です。手帳の小さいマス目に漢字を書きたい人には心強いラインナップです。

セーラー万年筆の字幅表記

セーラー万年筆はEF(極細)・MF(中細)・M(中字)・B(太字)という並びが基本で、Fの位置にMFという表記を使うモデルが多いのが特徴です。さらに、書く角度で線の太さが変わるズームという独自のペン先も持っています。他社のFに近い位置づけがMFだと考えると、比較がしやすくなります。

LAMYの字幅表記

ドイツのLAMYはEF・F・M・Bの4段階が基本です。表記はシンプルですが、基準は欧文向け。同じEFでも国産のEFより太めの線になる、というのが万年筆好きの間で広く知られている傾向です。LAMYのEFがだいたい国産のFに近い、という比較がよく語られます。

Pelikanの字幅表記

同じくドイツのPelikanもEF・F・M・Bを基本に、Bより太いBBを持つモデルがあります。Pelikanは海外勢の中でも太めに寄るブランドとして知られていて、PelikanのEFが国産のFからM寄りに感じられる、という比較を目にすることも多い。細い字が書きたくてPelikanのEFを選んだのに思ったより太かった、という声が出やすいのはこのためです。

国産と海外ブランドの字幅対応表

表の見方と注意点

各社の表記を「線の太さが近いとされる順」に横へ並べると、だいたい次のような対応になります。これは各社の公式表記と、広く共有されている読み替えの傾向を整理したもので、公式に定められた換算表は存在しません。

線の太さの目安パイロットプラチナセーラーLAMYPelikan
かなり細いEFUEF・EFEF
細いFFMFEF
やや細い〜中間FM・MMMFEF・F
中間〜太いBBBMM
太いズームBB・BB

この表には注意点が2つあります。1つ目は、同じブランドの同じ字幅でも、モデルやペン先の素材によって書き味と線幅が変わること。表の1マスの中にも幅があります。2つ目は、インクと紙でも線の太さの見え方が変わることです。にじみやすい紙では、同じペン先でも一段太く見えます。

それでも、「国産の表記から海外ブランドを選ぶときは1段細い記号を、海外から国産を選ぶときは1段太い記号を目安にする」という読み替えを知っているだけで、買ってからの後悔はかなり減らせます。

なぜ同じ記号でも太さが揃わないのか

理由は、想定している文字の違いです。日本語の漢字は画数が多く、線がつぶれると読めなくなります。「議」や「鬱」を小さいマスに書くには細い線が必要です。だから国産ブランドの基準は細字側へ寄りました。

一方、アルファベットは画数が少なく、多少太い線でもつぶれません。むしろ筆記体の流れやサインの映えを考えると、ある程度の太さがあったほうが様になります。欧米ブランドの基準が太めなのは、この文字文化の違いの反映です。

つまり字幅のズレは、各社がそれぞれの母国語の書きやすさに正直だった結果です。どちらが正しいという話ではないので、読み替えの目安だけ持っておけば十分です。

公式サイトで字幅を確認する方法

製品ページでの表記の探し方

買う前に確認すべきなのは、そのモデルに用意されている字幅の一覧です。国産3社の公式サイトでは、製品ページの仕様欄か注文時の選択肢に「ペン先」「字幅」という項目があり、そこにEF・F・Mなどの展開が書かれています。モデルごとに選べる字幅は違うので、ブランド全体のラインナップ表だけで判断せず、買いたいモデルのページで確認するのが確実です。

海外ブランドの場合、日本代理店のサイトと本国サイトで取り扱いの字幅が違うことがあります。日本で流通していない字幅もあるため、実際に買う店の選択肢で最終確認をしてください。

用途から逆引きする字幅の選び方

手帳・ノート派に向く字幅

小さい字で手帳やノートに書き込むなら、国産のEF〜F、海外ブランドならEFが目安です。漢字の多いメモは線が細いほど読み返しやすい。ただし細いペン先は書き味が硬めでカリカリした感触になりやすいと言われるので、なめらかさを重視するなら国産のFあたりが両立点になります。

手紙・改まった場面に向く字幅

便箋への手紙や署名など、字を大きめに書く場面では国産のM、海外のF〜Mが目安です。太い線はインクの色の濃淡がはっきり出るので、万年筆らしい表情が最も味わえる領域でもあります。宛名書きや一筆箋との兼用を考えるなら、太くしすぎず中間を選ぶのが無難です。

太字と細字のどちらか一方に決めきれない場合は、書く場面を思い浮かべるのが早道です。漢字中心の細かい書き込みが多いなら細字、大きめの字でゆったり書く場面が多いなら太字。この記事の表で見てきたとおり、迷ったらブランド内でひとつ細い記号を選ぶほうが失敗は少なくなります。

シャーペンの芯の太さ選びとの共通点

0.3mmと0.5mmの使い分けとの対比

この「細い=漢字向き、太い=大きな字向き」という考え方は、シャーペンの芯径選びとまったく同じ構図です。細かい書き込みには0.3mm、日常のノートには0.5mmという使い分けをシャーペンの芯の太さ0.3と0.5の選び方で書きましたが、万年筆の字幅も判断の軸は同じ。自分がふだん書く字の大きさが、そのまま答えになります。

違うのは共通規格の有無です。シャーペンの芯径はミリ単位の共通規格で、どのメーカーの0.5mmも同じ太さ。万年筆の字幅には共通規格がない。だからこそ、この記事で書いたブランド間の読み替えが必要になります。

迷ったときの選び方の結論

FかMかで止まっている人への整理です。書く場面の8割が手帳やノートへの日本語なら、国産のF(セーラーならMF)。書く場面の中心が手紙やサインで、字を大きく書くなら、国産のMか海外のF。海外ブランドのデザインに惚れて選ぶなら、欲しい太さより1段細い記号を選ぶ。

万年筆が初めての人に字幅だけひとつ挙げるなら、国産Fが最も外しにくい選択です。細すぎて困る場面が少なく、日本語の実用筆記を広くカバーします。太い字幅の楽しさは、2本目で味わうほうが失敗がありません。

字幅別のおすすめモデル

字幅の方向性が決まったら、あとはモデル選びです。細字でしっかり漢字を書きたい人には、細字の作りに定評のある国産勢から。

海外ブランドの書き心地とデザインを楽しみたい人は、字幅を1段細めに読み替えたうえで選んでください。

価格や在庫、選べる字幅の展開は販売ページで最新の情報を確認してください。

よくある質問

Q. 店頭で試し書きせずに通販で買っても大丈夫?

A. 字幅の方向性がこの記事の読み替えで決まっていれば、大きく外すことは少ないはずです。ただし書き味の硬さやインクの出方は試し書きでしかわかりません。近くに文具店があるなら、同じブランドの同じ字幅を一度書いてみてから通販で買う、という順番が安心です。

Q. 買った字幅が太すぎたと感じたら?

A. まず紙とインクを見直してください。にじみにくい紙とさらっとしたインクに変えるだけで、線は一段細く見えます。それでも合わなければ、そのペンは手紙用に回して、手帳用に細字をもう1本、という役割分担が現実的です。

Q. FMやMFは中途半端になりませんか?

A. むしろ日本語の日常筆記では使いやすい位置です。Fの読みやすさとMのなめらかさの間を取った字幅なので、1本で手帳からノートまでこなしたい人には合理的な選択です。

まとめ

字幅の記号EF・F・M・Bが示すのは、そのブランドの中での太さの順序です。ブランドをまたいだ共通規格はなく、国産は細め、海外は太めに基準が寄っています。海外ブランドを選ぶときは1段細い記号を目安に読み替える。書く字の大きさから逆引きすれば、FかMかの迷いには答えが出ます。

くり返しになりますが、この記事は各社の公式表記を並べて整理したものです。線の見え方は紙とインクでも一段変わるので、最後の確認は店頭の試筆に任せるのがいちばん確実です。まずはこの読み替え表を持って、最初の1本を選んでみてください。ペン先選びの前提から確認したい人は、万年筆デビューの選び方もあわせてどうぞ。